所在地 千代田区外神田2-16 (宮本公園)
千代田区指定有形文化財(歴史資料)
三谷長三郎胸像
平成14年(2002)4月指定
この胸像は、背面や台座部分にみられる銘文によれば、昭和7年(1932)に逝去した三谷長三郎氏の三回忌にあたる昭和9年(1934)12月25日に故三谷長三郎翁胸像建設会により三谷翁の功績を讃えるために建てられ、彫刻家北村西望氏に胸像の制作を依頼し、昭和9年(1934)6月に作品は完成しています。
三谷長三郎氏は、神田在住の実業家です。明治2年(1869)2月1日に神田塗師町に生まれ、幼名は銀次郎といいます。三谷家は、紀伊国屋の屋号を持ち、万治3年(1660)の創業以来銅・真鍮を商っていた商家です。長三郎氏は、明治19年(1886)に10代目を襲名してから大いに経営手腕を発揮し、財をなしたといわれています。
三谷氏は、財団法人三谷報恩会を結成して、神田区の学校教育のために多大な貢献をしています。例えば、列車を仕立てて毎年、春には鎌倉・由比ヶ浜へ遠足を、夏には箱根で林間学校を開催するほか、神田区内の学校に映写機・ピアノなどを寄贈しています。今川小学校には市内では初めてとなるプールを建設しました。また、進学優良児童には奨学金を贈っています。
像の作者である北村西望氏(明治17年・1884~昭和62年・1987)は、長崎の平和祈念像の作者として著名です。
この胸像は、当初は隣接する神田神社の裏側、東北隅にあった大銀杏のそばにありましたが、神社境内の整備のため、昭和36年(1961)に現在の宮本公園へと移設されています。
この胸像は教育に関する人物を顕彰したものであり、千代田区の教育史を考えるうえで欠くことのできない資料です。
平成15年(2003)3月 千代田区教育委員会
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